2004年7月21日(水)18:19

バローゾ次期EU委員長候補は特務欧州委員案を拒否

ストラスブール(AP)

ジョゼ・マヌエル・バローゾ次期欧州委員長候補は、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相の求める経済担当の特務欧州委員ポストの新設を拒否した。「一つだけ明確なことがある。私が委員長を務める欧州委員会には一級の委員も二級の委員もない」、とバローゾ候補は水曜日、ストラスブールの欧州議会における立候補演説で述べた。

欧州委員長に就任するためには、バローゾ候補は欧州議会の総議席732の過半数の支持を必要とする。欧州議会は明日木曜日に票決を行う。キャスティングボートを握るのは自由党系および社会民主党系の議員と予測されるが、両派の議員は水曜日の段階で明確な態度表明を行っていない。保守系のバローゾ候補を支持するのは268議席を占める最大会派の欧州人民党(EVP)であるが、絶対多数を占めるには至っていない。緑の党はバローゾ候補を拒否している。

シュレーダー首相は、経済関連の諸分野を調整し共同決定権を持つ副委員長ポストを新欧州委員会に設けるよう、繰り返し要求している。EUを2010年までに世界で最も競争力のある地域にするという目標を達成するには、このポストが必要なのである、と首相は主張する。しかし自由党系の議員などがこの副委員長案を拒否している。副委員長候補としてシュレーダー首相は、ドイツ選出のギュンター・フェアホイゲン欧州委員の名前を挙げている。同委員はこれまでEU拡大担当委員を務めてきた。

しかし担当分野の分割は最終的には欧州委員長の所轄事項である。バローゾ候補は、私は「強くて独立した欧州委員会」を望む。加えて欧州委員会内の女性の比率を高めたい、と述べた。委員に対しては委員長の要請があれば職を退くよう希望する、と語った。バローゾ候補は欧州議会に対して、EU諸機構間の民主的コントロールを重視すると保証した。

緑の党や社会民主党の反対者に対してバローゾ候補は、私の綱領の重点には環境保護とEUの「唯一独自の社会的モデル」の維持も含まれる、と訴えた。しかし社会的モデルの鍵となるのは繁栄である。それゆえ企業精神とイノベーションを振興する必要があるのだ。ユーロの安定協約も成長を促進するように運用しなくてはならない、と語った。

バローゾ候補にはとりわけイラク危機での対応について批判が寄せられた。バローゾポルトガル首相は明確にアメリカ支持の立場をとったためである。欧州議員との話し合いを終えたバローゾ候補は、イラク問題はEUを分断した。「今大事なのはEUの結束だ」。欧州のすべての人々はイラクの安定化に重大な関心を抱いている、と強調した。

欧州社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長は、欧州社会民主党は委員長候補者の綱領を検討した上で、賛否いずれの票を投じるか決定する、と述べた。自由党系のグラハム・ワトソン議員団長は、「私たちは説得に応じる用意がある」と述べた。緑の党のダーニエル・コーンベンディート議員団長は、バローゾ候補に反対票を投じると発表している。左派連合ならびに欧州統合懐疑派の議員も反対するものと見られる。

EU各国の首脳は6月中旬に開かれたEU臨時首脳会議で、ポルトガルのバローゾ首相をイタリア出身のロマーノ・プローディ現欧州委員長の後任に指名した。25名の欧州委員を抱える新欧州委員会は11月1日に発足する。

原題:Barroso erteilt EU-Superkommissar Absage




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